オランダのオーガニックファームへ
- aikosakurako21
- 11月28日
- 読了時間: 5分
更新日:5 日前

オランダには、自然と共生する小規模オーガニック農園が数多くあります。 今回は、ワーヘニンヘン大学を訪問した日に立ち寄った、19世紀の王室菜園をルーツに持つ小さなオーガニック農園のご紹介です。
こちらは、アグロエコロジー(生態系と調和した農法)を実践し、地域支援型農業など、オランダのサステナブル農業の最前線を体感できる場所です。
歴史ある畑で育つ多様な作物
ここは、19世紀にオランダ国王ウィレム3世のキッチンガーデン(王室菜園)として利用されていた歴史を持ち、現在は石壁に囲まれた庭をそのまま活用した珍しいスタイルのオーガニックファーム。敷地は1ヘクタール弱と小規模ながら、なんと400種類以上の野菜やハーブ、果樹や食用花が有機栽培されています。開園日には、訪問者は自由に農園内を見学することができます。

地域支援型農業で農園とつながる
CSA(Community Supported Agriculture/地域支援型農業)とは、農家と消費者がパートナーとなって農業を支え合う仕組み。季節ごとの収穫物を分かち合うだけでなく、食べものの背景や自然の営みに関心を持つ人々が、農園とともに“暮らしの一部”として農に関わるスタイルです。
CSAでは、消費者は野菜などの作物を「買う人」であるだけでなく、農園の継続や土づくり、生物多様性、地域の食文化そのものを支える“担い手”にもなります。
「自然を大切にした農法を応援したい」「どこで、だれが、どう育てたか分かるものを食べたい」そんな想いから、CSAに参加する人がオランダでも増えており、この農園でもその取り組みが実践されています。
この農園のCSAメンバーになると、5月〜11月の間に季節の野菜セットが届くほか様々な特典を得ることができます。
毎週、選別・洗浄済みのオーガニック野菜セットが届く
ハーブやイチゴの摘み取り体験
農園内イベントへの招待
ショップでの10%割引
冬の野菜ギフト
希望すれば収穫作業やパッキング、畑の手入れへの参加も可能
ガーデンの様子やレシピが届くニュースレター
CSAの魅力は、“おいしい野菜が届く”うえに、「この農の営みに関われる」こと。農家と消費者が収穫の恵みも気候のリスクも一緒に受け止めながら、持続可能な食の未来を育てるパートナーとなるとても素敵な仕組みです。
アグロエコロジーを学べるプログラム
この農園の大きな特徴は、アグロエコロジー(生態系農業) を学べるコースを提供していることです。「小規模農園を始めたい」「持続可能な農法を学びたい」という方にとって、非常に価値のある実践プログラムになっています。学べる内容は、土と堆肥作りから栽培計画、多様な野菜・果樹・ハーブの育て方、生態系と共生する農法、小規模農園の運営…と幅広く網羅されています。講義で理論を学ぶだけでなく、実際に畑に出て手を動かしながら学ぶ実践的なスタイルで、「リアルな農業教育」が受けられる点も魅力です。 次のようなテーマについて、数ヶ月にわたり、実地研修も交えて学ぶことができます。
土と堆肥(soil & compost)
栽培計画づくり
野菜・果樹・ハーブの育て方
生態系と共生する農法
小規模農園の運営
アグロエコロジーとは?
アグロエコロジーとは、自然のしくみを活かしながら、環境・人・社会に調和した農のあり方を目指す考え方です。単なる技術ではなく、「どう農と向き合うか」という思想・哲学も含んだアプローチで、近年世界中で注目されています。
アグロエコロジーを取り入れた農園では、化学肥料や農薬への依存を抑え、多様な作物や生きものが共存するしくみを大切にしながら、地域に根ざした農業を行っています。
例えば、今回訪れた農園では、以下のような実践が行われています:
堆肥や緑肥を活用した土づくり
多品目・混植栽培で生態系を維持
観察力と手作業による病害虫管理
農園と地域・消費者とのつながり
オランダ国内でも、こうした**“人と自然が共に働く農業”**は再評価されており、特に都市近郊や若手農家を中心にアグロエコロジーへの関心が高まっています。
この農園で学べる内容は、大量生産や輸出型農業とは異なる、もうひとつの持続可能な農のかたち。土・作物・人・地域、すべてを“つながり”として見る農業の視点が、私もとても勉強になりました。
オーガニック農園でのゆったりした時間

収穫された色とりどりの大根(黒大根や赤大根など)。農園内にはカフェも併設されており、新鮮な野菜をたっぷり使ったランチや手作りケーキをゆったり楽しむことができます。また直売所では、採れたての多様なオーガニック野菜や自家製ジャム、ピクルスなどの加工品を購入することも可能です。採れたての季節の野菜が色鮮やかにディスプレイされていて、その見せ方もとても素敵でした。
私が訪れた日も、子ども連れの家族から年配の方まで、多くの人たちが思い思いにカフェや庭園でリラックスした時間を過ごしていました。
気候のよい季節に開催される農園ツアー
この農園では、春〜秋の気候がよい時期に農園のスタッフによるガイド付きのツアーが行われています。石壁に囲まれた畑を実際に歩きながら、栽培方法や農園の歴史、アグロエコロジーの考え方について直接学べる貴重な機会です。ツアーの後には、農園産ハーブティーやオーガニックコーヒーを飲みながら、ゆったりと農園の空気を味わうことができます。小規模な農園ながらも、その徹底した自然共生型の農業と生物多様性が評価されており、オランダのオーガニック農業やアグロエコロジー、CSAに興味をお持ちの方におすすめのツアーです。 弊社では、この農園の日本語通訳付きガイドツアーの手配が可能です。専門的な内容も、日本語で分かりやすく解説しながらご案内します。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ:オランダで“自然と共にある農”を体験しよう
歴史ある王室菜園の庭とサステナブル農業、そして学びの場が見事に融合したこの農園は、とてもオランダならではの特別な場所でした。“自然と共にある農”を体験できます。



