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オランダ農業ブログ


オランダのオーガニックファームへ
ワーヘニンヘン大学にも近いオーガニック農園 オランダには、自然と共生する小規模オーガニック農園が数多くあります。 今回は、ワーヘニンヘン大学を訪問した日に立ち寄った、19世紀の王室菜園をルーツに持つ小さなオーガニック農園のご紹介です。 こちらは、アグロエコロジー(生態系と調和した農法)を実践し、地域支援型農業など、オランダのサステナブル農業の最前線を体感できる場所です。 歴史ある畑で育つ多様な作物 ここは、19世紀にオランダ国王ウィレム3世のキッチンガーデン(王室菜園)として利用されていた歴史を持ち、現在は石壁に囲まれた庭をそのまま活用した珍しいスタイルのオーガニックファーム。敷地は1ヘクタール弱と小規模ながら、なんと400種類以上の野菜やハーブ、果樹や食用花が有機栽培されています。開園日には、訪問者は自由に農園内を見学することができます。 400種類以上の作物を栽培する畑 地域支援型農業で農園とつながる CSA(Community Supported Agriculture/地域支援型農業)とは、農家と消費者がパートナーとなって農業を支え合う仕
11月28日読了時間: 5分


歴史も学べるチューリップ農園
中央上のチューリップがセンペル・アウグストゥス はじめに:チューリップは単なる花じゃない 私が"オランダへ移住する"と友人たちに話をした時、皆が口を揃えて言ったのが、"チューリップの国だよね?"でした。初めてスキポール空港に降り立った時、最初に目に飛び込んできたのも、お土産屋さんにずらりと並ぶ色とりどりのチューリップの花束や球根、そしてチューリップ柄のグッズでした。けれど、このチューリップはただ美しいだけの花ではありません。その歴史をひもとくと、17世紀にはオランダ経済を揺るがす“チューリップ・バブル”を引き起こし、現代では世界中に花を届ける巨大産業の象徴にもなっています。実はこのオランダのチューリップには、知られざる深い物語とパワーが秘められています。 チューリップとオランダの不思議な縁 チューリップはオランダ原産ではなく、もともとはオスマン帝国(現在のトルコ)から伝わった花です。16世紀半ば、オスマン帝国駐在大使がチューリップの球根と種子をウィーンに送り、そこからヨーロッパ各地へ広まりました。オランダで本格的に栽培が始まったのは1593年ごろ
11月6日読了時間: 6分


世界中から学びに来る!最先端トマト温室とは?
Tomato World はじめに:世界が注目するイノベーションセンター オランダはここ数日で一気に寒くなり、日もぐっと短くなってきました。 寒さは苦手ですが、街のあちこちでイルミネーションが灯り始め、美しい季節の始まりです。 さて、今日はそんな外の寒さを全く感じない、オランダにありながら年中暖かな場所のご紹介です。そこは、世界でも屈指のグリーンハウス農業地帯「ウエストランド」にある最先端農業イノベーションセンター"Tomato World"。 データに基づいた自動栽培やロボット技術の応用が開発・検証されており、施設園芸におけるハイテク・イノベーションの最前線を直接見て学ぶことができる貴重な場所です。 この施設は、農業に関心がある人であれば、誰もがワクワクできる農業テーマパークのような場所です。 「Tomato World」とは? 「Tomato World」は、1500㎡の実験温室と500㎡の展示施設からなり、 5G通信、IoT、AI、ロボティクス といったオランダの最新温室技術を体験的に学べる施設です。 Tomato Worldは、2007年
10月27日読了時間: 4分


オランダ農業の歴史
はじめに:逆境から生まれた不屈の精神と技術 「オランダ農業っていつからこんなにすごいの?」 旅行者にも農業関係者にも、よく聞かれる疑問です。答えは一言でいうと、水との闘いの歴史が農業を鍛えたから。干拓、食料危機、そして科学的農業への進化。オランダ農業は困難を乗り越えるたびに進化してきました。本記事では、その歩みを深掘りしたいと思います。 水と土地をめぐる闘い:干拓から始まる農業 オランダには山がありません。最高地点は南部にあるファールス山で、標高たった323m。オランダの土地は驚くほど平坦です。国土の約1/4は海面下という低地であり、首都アムステルダムやスキポール空港も海抜約マイナス3mに位置します。もし堤防がなければ、国土の大半が海に沈んでしまう土地なのです。 中世から近代にかけて、オランダ人は海と戦いながら国土を拡大してきました。堤防を築き、風車で水を汲み出し、海から土地を奪い返す干拓を粘り強く続けました。まさに「神は世界を創り、オランダ人はオランダを創った」という有名な言葉が示す通り、自らの手で国を造り上げてきた歴史があります。こうして生ま
10月17日読了時間: 4分


農家の嫁が見たオランダの先進農業
目次 はじめに グリーンハウス農業の革新 酪農業 - チーズと牛乳の王国 「効率×持続可能性」への挑戦 – サステナブル農業 世界最高峰の農業研究拠点・ワーゲニンゲン大学 最後に 最先端農業技術が集うGreenTechにて はじめに:小さな国が世界第2位の農業輸出国 九州ほどの面積しかないオランダが、農産物輸出額で世界第2位なことをご存知ですか?広大な農地を持つアメリカに次ぐ規模で、野菜、乳製品、花きなど年間約1000億ユーロ相当を世界中に輸出しています。単位面積あたりの農業付加価値は欧州平均の5倍にもなり、小さな国土でも驚異的な効率を実現しています。 私は、熊本県の山奥のスイカとアスパラガスの農家に嫁ぎました。小さなビニールハウスで収穫したスイカを汗だくになりながら一輪車で運んでいた私が、オランダの巨大なガラス温室いっぱいに広がるトマト畑を目にしたとき、その先進的な農業の姿に衝撃を受けました。現在はオランダへ移住し、現地で先進農業を学びながら、将来子供たちが「継ぎたい」と思える農業を日本にも広めべく活動しています。 このブログでは、オランダ各地
10月6日読了時間: 8分
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